ガンキャノンは鈍重だと言われるが、はたしてそうだろうか? ここでは、非常に大雑把ではあるが重量当たりのジェネレーター出力、 及び重量当たりのスラスター出力合計を見てみよう。 ()内はガンキャノンを1とした場合の比率である。 RX-77 ガンキャノン  27.1W/Kg(1.00) 9.95m/s^2(1.00) RX-78 ガンダム  31.8W/Kg(1.17) 12.5m/s^2(1.26) RGM-79 GM  30.3W/Kg(1.12) 13.2m/s^2(1.33) --------------------------------- MS-06 ザク-II  17.4W/Kg(0.64) 7.55m/s^2(0.76) MS-09R リック・ドム  27.4W/Kg(1.01) 11.9m/s^2(1.20) MS-14 ゲルググ  34.2W/Kg(1.26) 14.3m/s^2(1.44) ビーム兵器との関係、駆動装置の差異や スラスターの配置、プロペラントの積載量など厳密には 色々考慮せねばならない要素があるが、 極大雑把な議論では前者は四肢の駆動(歩行・走行、武器の操作やAMBAC)、 後者は宇宙空間での加減速能力に関連があると見てよい。 (重力圏でのジャンプは初期の加速は四肢、 空中での加速はスラスターで行われるから効果は複合的) すると、確かにRXシリーズ中では総じて決してよい成績ではないが、 これはガンダムの設計課題が重量軽減による運動性の追求であり、 GMもその延長線上であることからまぁ当然の結果といえる。 一方ジオン側の主力MSと比較した場合、ザクには圧勝、リックドムとトントン、 ゲルググにようやく追い越されることになる。 つまり大戦の極末期に至るまでガンキャノンは重MSでありながら 運動性能において決して劣ったMSというわけではなかったのである。 ところで余談になるが、ガンダム/GMより悪いといっても 1.2-1.3倍程度の違いだということも一応、指摘しておこう。 唯一ジオン軍主要MS中で ガンキャノンを大きく超える運動性を持つMSであるゲルググは ガンダムと極めて類似したスペックからも判るように ガンダム(あるいはGM)をターゲットにした軽MSである。 ザクと同じ素材でザクより10tも軽い重量からもわかる通り 連邦のGM以上に装甲面への配慮が薄いMSでもある。 こうなってくるとむしろジオン側のアドバンテージとして 印象深いことは基本性能におけるこの圧倒的な不利を埋め合わせた 設計、運用、操縦ノウハウの蓄積だろう。 よくMSの技術格差10年と言われるが、 その差はそういった部分を指すのであろう。 (それは、要素となる基礎技術に関して言えば、 決して連邦は遅れをとっていた訳ではないから当然ともいえる。 でなければ、遅れることたった10ヶ月で RXシリーズを開発することなどできはしない。) ---- 付記 ここでこのような大雑把な議論した理由は、 後付け設定のどれを採用するか、またそれらの設定の正当性や 設定間の整合性を考えなくて済むように、 誰でも入手可能なデータで平易に議論したかったからである。 了承されたい。